会長挨拶(21年10月)

 

 東北の多くの山々で美しい紅葉を見ることができます。盛岡から東に北上山地を越えて太平洋岸まで通じる国道455線には、岩洞湖という人造湖があり湖面に映る紅葉は名所の一つです。その国道に面して人工造林のカラマツ林があり何気なく通り過ぎる景色ですが、春の新緑は生きる力が漲り、秋の真っ青な空に映える黄金色は格別の美しさです。

 

 中国が猛烈な勢いで植林を進めているという記事が日経新聞に掲載されていました。この10年間の年平均の植林面積は、熱帯雨林の消失が報じられているブラジルの年平均の消失面積を上回るという。砂漠化防止、洪水対策等の植林から、CO2の吸収という気候変動対策の役割も大きくなってきたようです。面積の大きさを比較しやすいように万haで記します。(中国の10年の年平均植林面積193ha、ブラジル年平均の熱帯雨林の消失149ha、王子HDの社有林国内19、海外38、合計57ha、東京23区の面積6万ha

 

 アメリカにイエローストーンという1872年に世界で最初に指定された国立公園(90ha)があります。火事がおきてもそのまま放置し、先祖から受け継いだ自然を人の手を加えずに保護して、あるがままの自然を子孫に残そうという考え方です。19世紀の西部開拓の時代に「森が消えていく」、「開発か、自然保護か」、「文明の発展は果たして良いことなのか」ということで自然保護の考え方が芽生え、「人間と自然の在り方」、「文明生活も大自然も両方必要」「原生自然の保護」等の議論を経て国立公園に指定されました。

 

 王子HDCO2を吸収し地球温暖化の防止に貢献するということで、今年から株主優待制度として「stop地球温暖化 いっしょに育む森の力」植林活動応援イベントをスタートさせます。 

 「植林、森のリサイクル」によってCO2の吸収と有用な木材を継続的に生産することと、一方であるがままの自然を残すことの両立、当たり前のことですが国道455線の美しい紅葉を思い浮かべて改めて思いかえしました、