会長挨拶(23年3月

   近くの神田川沿いの桜のつぼみがふくらみはじめ、春の訪れが待ち遠しい季節です。いかがお過ごしでございますか。

 

20年ほど前に何かの会でご一緒になった笹倉信行さん(当時NTT)は名刺交換のあとに王子製紙の社史を読まれたと話され、急に親近感をもってご趣味の川の話を伺いました。社史に関しては、抄紙会社の王子工場建設時の用水事情のことであったと思います。その後2005年に日本経済新聞の最終面の「文化」欄に笹倉さんが書かれた「川の記憶 流転する都市」という記事を見つけました。

 

笹倉さんのいくつかの体験が紹介されています。例えば自宅のある中目黒から目黒川を下って行ったらJR品川駅の南に北品川駅(京浜急行)があり、後で調べたら北品川駅は江戸時代の北品川宿の名残とわかりました。 

また、三田用水の跡をたどると防衛技術研究所とサッポロビールの恵比寿ガーデンプレイスがあり、用水を動力にして火薬を作っていたのが研究所、同じ水でビールを作っていたのがサッポロビール。水跡の探索からその場所との結びつきがわかって面白いと記述されています。

 

 先日は暖かい日和でしたので飛鳥山から駒込まで、昔の石神井川の痕跡を散歩しました。石神井川は小平市の小金井カントリー倶楽部付近を水源として練馬区、板橋区と東に向かって流れて、京浜東北線の王子駅の下を潜って隅田川に合流しています。

 しかし、その昔の王子駅の場所は飛鳥山とつながった台地で、石神井川は台地に衝突して進路を南に変え、谷田川(下流は藍染川)となって霜降銀座、駒込銀座、千駄木と武蔵野台地の北東端を侵食して不忍の池に流れていたそうです。

 

5月23日に東京王友会では「ぶらり歩こう会」で隅田川沿いを歩く行事を計画しています。

「春のうららの隅田川 のぼりくだりの船人が・・・」と口ずさみたくなります。コロナはこの春での終息を期待、ご健勝を祈念いたします。

 

 

 

                                                     東京王友会会長 加村喜久男