会長挨拶(23年4月)

  今年の桜の季節は例年より早く訪れ、近くの神田川の水面には花筏が流れています。ご健勝にお過ごしのことと存じます。

 

 先のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)優勝監督の栗山さんは1999年北海道夕張郡栗山町の観光大使に就任し、栗山町に私財を投じて天然芝の少年野球場「栗の木ファーム」を造られています

 

栗山町は王子HDもご縁がありました。1956年(昭和31年)に日本で初めての林木育種研究所が開所され、寒冷地で根腐れしない成長の早い木の研究がテーマと聴取したように思います。

営業部門に配属されてお客様を初日に苫小牧工場、翌日に林木育種研究所をご案内したときのこと、同研究所で講義を聞きフィールドを見学して、所内の施設で昼食をご馳走になりました。地元栗山の朝もぎトウモロコシと、初めて食するじゃがいもにバターとイカの塩辛は美味で、また気持ちよく給仕していただきお客様も大喜び、心のこもったおもてなしと強く印象に残っています。

 

学生時代にお世話になった岩手県の田野畑村のご夫妻から寒中見舞いのお手紙をいただきました。「万田を耕すは、その一鍬にありと言いますが、皆さまが若き学生時代に投じた一鍬が今大輪をさかせようとしています」と書かれていて、50年以上にわたって変わらず温かく見守っていただいています。

 

 地政学的に村の集落が分断された田野畑村で教育立村を目指す村長と、自然教育、人間教育の必要性を考えていた大学の教師が意気投合して、1967年(昭和42年)に「思惟(しい)の森」の活動が始まりました。

村の共有地組合と大学で分収林契約をし、学生の会(思惟の森の会)が春に松や杉を植林、夏合宿で植林した木の周りの下草刈りを行なってきました。

 寒中見舞いのお手紙をいただきましたHさんは当時役場の一職員でしたが村長のもとで村と大学をつなぐために奔走され、寮のできる以前には30人ほどの学生が10日間もの間、Hさんのご自宅で合宿をさせていただきました。

 

 この21世紀は、あってはならない戦争や暴力、ハラスメント、虚言、それと対極にある、おもてなしや心遣い、心の通う人の交流が大事にされる社会であってほしいと思います。

 

 

 

 

 

 

                                                     東京王友会会長 加村喜久男